山形は全国生産量の６割を占める洋なし王国です。特に、西洋梨の女王と言われる「ラ・フランス」は、ひとたび食べれば、驚く程上品でとろけるような美味しさ、まるで贅沢なデザートのようです。芳醇な香りと舌ざわりがリッチな味わいで、一度食べたら虜になります。

山形のラ・フランス栽培の歴史

ラ・フランスは栽培が難しい果物です。山形の場合、さくらんぼも、桃も、ラフランスも同じ時期に開花しますが、最も遅く収穫するのはラフランスです。収穫が遅い分、台風の害に合うことも少なくありません。また、病害にかかりやすく栽培に手間がかかるため、名付け親の本国フフランスでも栽培を諦めた理由でした。
山形の西洋梨栽培は、1875年からはじまったとされています。古くからのなしの産地である、東置賜郡屋代村（現在の高畠町）でした。 その後、土作り、剪定、摘果、収穫、追熟など先人たちの研究努力により、生産体制を確立させ、２１世紀おいしいラ・フランスが全国的に日の目をみました。県オリジナル品種「メロウリッチ」「バラード」大玉品種「シルバーベル」も加わりました。山形は、西洋なし王国として、さらに美味しい品種を生み出すべく研究に励んでいます。

ラフランスは、追熟が必須の果物です。果物は収穫したてが一番美味しいという私たちのイメージから離れるようですが、収穫したばかりのラ・フランスは、ごつごつと岩のようで甘みがありません。

追熟の仕組み

もぎたての西洋なしは２％ほどのデンプンと、クエン酸などの酸を多く含む。これを時間をかけて追熟していくと、デンプンが果糖やショ糖、ブドウ糖などの糖分に分解され、ビタミンＢやＣも増加する。また果肉中のペクチンが水溶性のペクチンに変わるため、肉質はとろけるようになめらかな状態になります。　 例年１０月中旬に収穫し、小売店に並ぶのは１１月下旬、収穫してから食べられるようになるまで、実に１か月以上かかります。山形県ではラ・フランスの販売開始時期に自主基準があります。

　ところで、常温で放置すると個体により熟度がバラバラになるため、食べ頃をそろえる工夫がされています。これが「予冷」です。生産者は、収穫直後に２～５度の低温貯蔵庫に入れ、10日間ほど呼吸作用を抑制します。これを常温に戻せば、一斉に呼吸を始め、デンプンが糖分に変わります。食べ頃は、全体として約２週間後になります。

食べる前に必ず追熟！

かならず常温で追熟してからお召し上がりください。熟させるには、室温２０℃以上の部屋で保存ください。当店のラ・ラフランスは、おおよそ７～１０日が食べ頃です。また、以下の様子を目安に、食べ頃を判別します。

ラフランスの食べ頃の目安

● 肩の周囲に盛り上がっている「肩」と呼ばれる部分を指で押し、耳たぶぐらいの柔らかさになったとき
● 甘い香りがしたとき
● 軸回りにシワが出たとき

長持ちさせるには冷蔵保存

長く持たせたい場合は、冷蔵庫で保管ください。ラ・フランス、シルバーベルは、固いうちに冷蔵庫に入れると、大変長持ちします。冷蔵庫の中でも少しずつ熟していきますので、適度なタイミングでお召し上がりください。尚、一度柔らかくなると、冷蔵庫に入れても日持ちしませんのでご注意ください。

熟したラ・フランスは冷凍保存

熟してしまった洋なしを日持ちさせるには、冷凍するのがお勧めです。皮を剥いてカットしたラ・フランスを、レモン汁をかけて冷凍すると、シャーベットのようになります。凍ったままでお召し上がりください。一度冷凍したものを解凍すると、べちゃべちゃになるので注意です。